TEMPESTAのチタロ様より頂戴した素敵絵で妄想をさせて頂きました!和服萌え!
杯に注がれた酒は、透明な澄んだ味で、喉を落ちた。
シュラは、杯に残った酒を全て口に含み、唇を重ねる。
同時にカミュの髪から引き落とした花の飾りが音もなく床へ沈んだ。
唇を伝って咥内を満たしたシュラの酒を、音をたてて飲みくだしたカミュは、うっとりと閉じていた瞳を開ける。
ほんのりと淡く色をつけるシュラの肌。濡れてますます艶を増した唇が、耳元で熱く言葉を紡ぐ。
東洋の清めの酒と、和の国の装束と、一つに結った髪から桜色の花が落ちた。
「脱がすのがもったいないな」
結った髪に指をさしこんで、美しい東国の花を模した飾りを乱したのはシュラの指だ。
カミュは、その指がするりと首筋を撫で、布の合わせ目へ僅かに侵入をしてきたところで、ハッとそれを押しとどめた。
「い、いけないのだ」
「いけない……だと?何故だ」
シュラの指を柔らかく握り、カミュは俯いて口籠る。この装束を着せてくれたムウから、着替えの最中言い渡されたことがあったのだ。
「それは聞かないでほしいのだ…」
「聞かないでほしいと言われてもな。着たままでもいいが脱がなきゃ汚すだろ?」
せっかく美しいのにもったいない、とシュラはカミュが纏う錦の布へ触れた。そう思うのならば全身を弄るこの手と、眼差しを止めてくれたらいいのに、とカミュは内心で呟く。
シュラの漆黒の眼差しは、着飾った互いの姿を目にした時から、ちろちろと燻る小さな炎を煽るように絶えず向けられてくる。カミュは、逃げるようにシュラから顔を背け、出来る限りその姿を視界に映さないようにした。
豪奢な東洋の美が彩るのは、何も自分だけではなくシュラもだ。
夜の色の錦。それは、シュラの黒い髪にも白い肌にもよく沈んで、艶めかしさに変わる。酒に弱くない彼が、普段よりも少ない量で肌を染めているのも、東国の濃い酒精の所為であった。
「駄目なのだ。汚すのもここで貴方に抱かれることも、いけないのだ」
カミュが、艶めかしいシュラの吐息と眼差しに触れられて拒んだのは、己自身への戒めの為でもあった。否、言い聞かせるようななけなしの戒めでしかなかった。
「なんで」
カミュの背けた顎先へ指を這わせ、あっさりと引き戻して、シュラはいまにも触れんばかりの距離でにやりと唇を歪める。
「…それだけ拒むには理由があるのだろう?言ってみろ」
「い、いえないのだ…。言ったら貴方が、」
「オレが?」
逃げられないように囚われた鼻先をからかうように食まれ、カミュはう、と小さく声を漏らす。できる限りシュラを拒みたくないとは思えども、でも、今は特異であるといえば特異な状況であった。僅かに開いた胸元の合わせをもう一度整え、カミュは固い決意の表れとした。
「オレがどうした。そんな態度をとるなら自分で確かめるからいいけどな」
「シュ、シュラ…ンっ!」
だが、今度シュラがすっと手を差し入れたのは、胸元ではなく下半身の合わせ目だ。折り重なる布の隙間を縫って、素肌の腿を熱い手のひらが撫でる。あやすような触れ方と同時の相反して貪られるような唇を吸う行為が、カミュの心を掻き乱した。
どちらに心を預けたらよいのだろう。狭間で葛藤をしているうちに、シュラの手は腿のさらに奥へ這わされて双丘を撫で、そして、気付いた。
一瞬驚愕で目を丸くしたシュラが唇を吸うことをやめる。
「……オマエ、なにもつけてないのか」
「ッ…む、ムウが…この装束を纏うのなら下着をつけてはならないと…貴方は言われなかったのか」
「ああ、オレはふつうに履いてる」
「ムウに騙されたのだ」
「ほう」
絢爛で美しい艶布の中に、下着すら纏わない生まれたままの身体が隠されている。シュラはその事実だけでコクリと喉を鳴らした。
ますます、暴きたい。
シュラは、カミュの隠されたものを暴いて、柔肌の部分に唇をつけたくなった。
艶やかな錦の中の隠されたカミュの素肌を暴いて、より艶めかしく乱すのは、己しかできないことだ。
清めの酒の所為ではない、淡く色のついた耳朶へ唇を落とし、シュラはさらにカミュの腰を抱き寄せて、布の中でむき出しの双丘を揉みしだいた。アッと小さくカミュが息を漏らす。
「…やめてほしい…のだ。このままでは汚れてしまう…」
胸をやんわりと押し返す抵抗を無視して、シュラは唇でカミュの緩んだ髪に触れ、花の飾りと共に髪に刺さっていたもう一つの玉飾りを唇で咥え、引き抜いた。はらりといくつかの絡んだ髪が揺れて、解ける。しゃん、と鈴のなるようなあえかな音がして、シュラの唇から簪が落ちた。
「今から脱がしてやる。おとなしくしてるんだな…コレを汚したくなければ」
シュラは片手でカミュの双丘を弄ったまま、髪から伝って装束の襟を食み、そのまま滑るように胸元へくると、幾重にも巻き付けられていた帯紐の結び目を歯で解き始めた。
「あう…うう…そんな…口でなど…」
絹糸を何本もより合わせてある紐へシュラの唾液が染み込んで、色を濃くさせる。
カミュは、視界の中で蠢くシュラの唇と、布の中で狭間を撫でる指の感覚で、ひくりと身震いをした。まだ幾重にも布は身体に巻き付けられて肌を覆い隠している。
だが、みるみるうちにシュラの唇だけで緩んでいく紐は、これからの行為の淫らさを示唆しているようにもカミュは思えた。
解かれる。シュラの身体で。唇で。
舌と指先で濡らされて、しっとりと色を変えて潤んでいく絹の紐のように全てが晒されてしまった時、恐らく自分も淫らに緩んでいることだろう。
自ら手を掛けるよりも柔らかく、恥ずかしいほどに蕩けていくしかない。
「シュラ…自分で…脱ぐので…ッう!」
「もう黙れ。…オレが脱がすと言ったぞ」
瞬間的に離れた唇から低音の声が漏れる。再びシュラは乱暴に歯牙を結び目に突き立てた。
もう隠れた布の中にあるものも、そのうち晒けだされていくのも艶やかな欲望でしかない。
カミュは、観念をしたようにシュラの髪へ指先を忍ばせ、きつく目を閉じた。
髪から落ちた花の飾りが散ることはない。
でもカミュは、散らされる為にシュラに解かれて、乱されるのだ。これから。