エクソティカ
※ ()の部分は紙面上ではふりがなとなります。 【サンプル①】 約束の時刻は、大幅に過ぎていた。 待ち合わせの場所まですぐに来ると連絡があったからカフェには入らなかったのに、少しも「すぐ」ではないどころか、いつまでた…
続きを読む →※ ()の部分は紙面上ではふりがなとなります。 【サンプル①】 約束の時刻は、大幅に過ぎていた。 待ち合わせの場所まですぐに来ると連絡があったからカフェには入らなかったのに、少しも「すぐ」ではないどころか、いつまでた…
続きを読む →【サンプル①】 くたびれた化粧ポーチの中には、アイシャドウのラメが飛び散っていて、もうそろそろ、買い換え時かもしれない。 狭い店内に、むりやり押し込んだ、たった一つのソファ席に座って支度をする途中で、何度押し出してもでて…
続きを読む →【サンプル①】 二人は、おそるおそる目を開けた。 湿気のない風、降り注ぐ太陽、先まで続く踏み慣れた石の段。 まぎもなくそこは聖域十二宮で、シュラは、己の目が幻を見ているかどうかを確かめるために、泥で汚れたカミュの顔をまじ…
続きを読む →【ガヴァージュ】 優美な衣擦れの音がした。 見えない視界の先にいるサガにとっては、意図さえしない、ほんの瑣末な現象にすぎないだろう。塵芥が降り積もることと同等の、ささやかな音色に耳を傾けると、味のないひからびたパンのよう…
続きを読む →【サンプル①】 目にとまったそれらの二つを求めようとした時、主の姿は見えなかった。任務を終え、聖域へ戻る途中に、なにげなく足を伸ばした蚤の市でのことだ。 シベリアの地で、弟子達と手合わせをおこなうという任務は、カミュにと…
続きを読む →【サンプル①】 脳天へ、重く鈍い一撃が落ちてきた。 思わず全身に力を込めて耐え、大きな音をたてて、足元に投げ出された衝撃の原因となったものを、慌てて拾いあげる。 それは、たった今梯子を登り、書架へとしまった資料の一冊であ…
続きを読む →【サンプル①】 濡れないようにと、申し訳程度にウエストの部分で折りこんで、パンティストッキングに挟んだドレスが、容赦なく地面にキスをした。 「もおおお!ビッショビショじゃない!濡れんのは穴だけでいいのよ穴だけで!なによ!…
続きを読む →【サンプル①】「剣」 シュラが幼い頃に育ち、目に写した街のことを、カミュは知っている。永久凍土の大地ほどではないが、冬には厳しい寒さに覆われる山脈の尾根を、遠目から眺めた。 でも、カミュは知らない。シュラが己の小宇宙を高…
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