蜜編み

みっつをひとつ。 金髪は金髪でも、生えている人間が違うだけでこうも違うのだ。アイオリアは、直毛には程遠く、気にして櫛をいれているわけではないのだろう髪の一束に悪戦苦闘していた。「いたいぞリア」「ああ、すまない」報酬の、コ…

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ただひと。

神に近く、獅子に近く。 ※R18 聖域に雪が降った。正確には周辺の地域も含めたこの場所へ、雪が降ったのだ。私が聖域へ来てから雪はもう何度も降っている。ちらちらとちらつく程度の時もあれば、世界が真っ白に染まる時もある。私が…

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酸いも甘いと噛みわけた

月、星、光と夜の海。※R18 大いなる海の愛は潮辛い。愛に塗れて全身ずぶ濡れになった身体は潮辛さと、海水特有のべたべたとした感触を残すのに、それを撫でる夜の海風はとても気持ちが良かった。日暮れから訪れた海の夕日は、長いよ…

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シエスタメモリー

そういえば、こんな夏の日のことだった。 朝になって太陽の光が射したら起きる。それは明るいから。 「ふむ。私はそろそろ戻るよ」 「…戻るとは宮にか?今さら…今さら帰らんでもいいだろう」 夜になったらベッドで寝る。それは暗い…

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私は猫ではない

押し倒されたシーツの上で、カミュはそう言った。 「猫じゃない。猫闘士だっていってるだろう」 何度言わせればわかるんだとでも言いたげな瞳を携えて、シュラはカミュをさらに強くベッドへと押し付ける。 つい数分前までは、例えば毛…

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ある焦燥

半分程焼けた森、爆撃で吹き飛んだ家、燻ぶる瓦礫が横たわる村。 全てを覆い隠す夜の闇。 「いッ……い、…ぁ…いたい…」 「……だまってろ」 赤い髪を鷲づかんで押しつけた半壊の壁は、元々小さなカテドラルの末路だ。争いが終わっ…

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ビアンカ・ロッソ・ノワール

 ※女装 ビアンカ(シュラ)×ジゼル(カミュ) 髪も化粧も服も全部が終わってから塗れよ、と教わった黒く細長い長方形のキャップを開け、ジゼルは最後の飾りつけをビアンカに施そうとした。薄く唇を開き、おとがいを反らせたビアンカ…

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いつかメモに投げたもの およそ私の知る卵の概念の大半は、ある一つの食材というものであり、食物の嗜好を言えば、好きでも嫌いでもない。食卓に提供されれば食べるし、食うものが卵しかないという状況になれば喜んで食すだろう。私自身…

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チェリーピック

気に入ったものだけつまみ食い 脳天から正中線に、刃を降ろす。 皮には音もなく切れ目が入り、潔く真っ二つに割れる。 ナイフを濡らす雫は甘く、爽やかである。そうとしか思えない果汁と、噛み締めた時の快い歯応えを脳裏に浮かべて、…

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